泣いててもいいんだよ

もう、死んでしまったんだから忘れなさい 

そうあの人は、言った

さっき、死んじゃったのって言った私にあの人はそう言った

意味がわからなかった

貴女にもあんなに懐いていたじゃない

可愛いって言ってたじゃない

それなのに出てきた言葉は、それなんだ

なんだか、許せない気持ちになってしまった

信心深い人と思っていたが、それは、あの人自身に向けられているだけのもの

周りの全てに向けられているものではなかった

私の両親が逝ってしまった後もあの子が逝ってしまった後も同じだったから

あれは、信心深さからくるものではなく、自分が醜いほど生にしがみついているその姿だった

きっと、周りから疎まれながらもあの人は、生きていくんだろう

でも、今回のことでよくわかった

私も忘れる

貴女のこと

生きるっていうのは、1人で頑張ることなんだろう

貴女から教えてもらった

 

こんな時に見えなかったものが見えてくることもあるんだって、わかった

 

止めることができない涙を無理やり止めなさいと言われ、成仏できないなんて言葉で呪縛する

そんな人が以外に多いことに驚いた

こんなにあの子達が人間を信頼し、愛し共に生きているのに、まだあの子達を畜生扱いしている人間がこんなにいることに心から失望したし哀しい気持ちになった

人間は、そんなに偉くない

人間は特別でもない

あの子達のひたむきな生き方を知っている人は絶対、こんなこと思わないはずだ

人と生きる道を選んだあの子達は、本当に美しい生き方をする

生まれてきて、人を愛し、ただひたすら自分に与えられた犬生を生きる、そしてその時がきたら静かに終わりを迎える

こんな風に生きるあの子達を人間とは違うとか一緒の扱いをしてはいけないとか、それを神の言葉だと語る人たちは、どれほど自分を奢っているのか

 

あの子達と家族として暮らした人達は、みんな、そんな、心無い言葉に苦しんだことが一度はあるのかもしれない

泣いててもいいんだよ

思いっきり泣いていいんだよ

私もまだ泣いてるよ

そう言って、一緒に泣く

 

いろいろと本当にいろいろと考えさせられる

これもあの子が私に遺していってくれたものなのかもしれない